月曜日, 11月 30, 2020
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「ピクミン3 デラックス」レビュー –

 2013年にWii Uで発売された「ピクミン3」がNintendo Switch用にリメイクされ、「ピクミン3 デラックス」として帰ってきた。久しぶりのピクミンだ! という嬉しさとともに、今回はサイドストーリーとして“オリマーが操作できる”大きなボーナスコンテンツがあってこれもまた嬉しい。

 「ピクミン」シリーズといえば「ダンドリ」の言葉に象徴されるように、かわいくて仕事熱心なピクミンたちをいかに采配するかに醍醐味がある。「ピクミン3」では岩ピクミンと羽ピクミンが登場したほか、最大3キャラクターを同時並行で操作する新たな手応えが加わっている。

 リメイクとはいえ実に7年ぶりのピクミンなので正直忘れている部分もあったし、Nintendo Switchで「ピクミン3」を遊んだことでその楽しさを再発見する部分もあった。さっそく、本作をご紹介していきたい。

 なお、本作は体験版も配信されている。本作の手触りが気になる方は、まずは体験版をプレイしてみるのもいいだろう。

【ピクミン3 デラックス 紹介映像】

はかなく健気なピクミンとの共同作業がふたたび!

 本作は、それぞれは体の小さな生き物「ピクミン」に指示を出して様々な作業をしてもらうアクションゲームとなっている。ピクミンは「オニヨン」と呼ばれる母体を持っており、ここに倒した原生生物や数字の描かれたペレットを運び込むことで繁殖できる。数を増やしたら最大100匹まで引き連れることが可能で、このピクミンたちの力を使ったマップ攻略が目的だ。

ピクミンたち

 たとえばメインストーリーでは「食料の回収」と「電波の発信元の調査」が大まかな目的となる。調査時間は1日が一区切りで、1日が終わると食料をひとつ消費する。フィールドには様々な仕掛けがあり、調査の完了には数日かかってしまう場合もある。フィールド上にある果実を回収して残りの食料を増やしつつ、底をつかせないようにより効率的な分担作業が求められる、というわけだ。

 ピクミンができることはいくつかあって、ものを運ぶ、生物を叩いてダメージを与える、地面に埋まっているものを掘り起こすなど。そこからピクミンの種類によって特技が派生して、赤ピクミンなら炎に強い、岩ピクミンなら水晶やガラスを割れる、黄ピクミンなら電気に強い、といった感じになっている。ピクミンの特徴を活かしつつ、上手く分担していくことがプレイする上での最大のコツだ。

ピクミンができる作業は結構ある。どこにどれくらい割り振るかはプレーヤー次第

回収した果実は独特のネーミングセンスで分析される

 たとえば、目の前のペレットは3匹に運ばせつつ、通路を塞ぐ土は10匹に崩す作業をしてもらう。指示が終わったらその間に他の赤ピクミン10匹を連れて、炎を吐き出す生物を倒しに行く……といった感じ。倒すころにはきっと作業が終わっているので、「次はピクミンをより多く引き連れてあそこの食料を取りに行こう」などと戦略を練っていく。

 要は制限時間の中で、いかに効率的に増やす、運ぶ、破壊する、倒すなどの作業を完了できるかがプレーヤーの腕の見せどころだ。ただし、ピクミンは指示がなければぼーっとしている。ことによっては寝転がっておしりをプリッとさせたりもするほどのんきなので(そこがかわいい)、できる限り多くのピクミンに仕事を与えてあげるといい。

寝転ぶピクミン

フィールド上のピクミンの状況もメニュー画面から把握できる

 じゃあ作業が繰り返される淡々としたゲームなのかというとそんなことはない。世界にはピクミンを一気に捕食する原生生物がいて、近づいてきたピクミンをバクバク食べようとする。あくまで、ピクミンは数匹程度では圧倒的弱者なわけだ。

 ピクミンはある程度数を揃えないと図体の大きい生物にはなかなか勝てないし、バクッといかれたらそれだけ戦力が減ってしまう。何より、食べられて死んだピクミンの魂が「ハワワ~」と天に上っていく演出がものすごく悲しい。

食べられる以外にも、環境に適応できなくて死んでしまう場合もある

 「引っこ抜かれて、あなただけについて行く 今日も運ぶ、戦う、増える、そして食べられる」の歌詞でかつて「ピクミン」CMソングがスマッシュヒットした(2001年リリースの「愛のうた」。19年前!!)が、実際に「食べられた」ときの衝撃といったらない。うまくピクミンたちを誘導できず、30匹ほどを一気にガツンとやられたときには突き刺すような心のダメージがある。この、死なせてしまった感。

 つまり「ピクミン」世界の中で行動範囲を広げることは命がけであり、そこにスリルがある。作業を効率的に……というロジカルな部分と、生物と命のやり取りをする勇敢さや大胆さ。ピクミンの死という残酷な一面がピリッとスパイスのように効くことで、ゲームの味わいにメリハリが生まれている。

しかし倒したらこっちのもの。オニヨンに持って帰って、ピクミンの繁殖に役立ってもらう

ちなみに筆者の場合、50匹くらいの羽ピクミンを突撃させてある程度の大物でも一気にカタを付けるのが好き。数の暴力最高

 筆者がゲーム中最も好きなシーンは、初めて遭遇したオニヨンが、最後の力を振り絞るように1匹のピクミンをポフッと吐き出す場面。ピクミンのはかなさや健気さがよく表われていて、たまらなく愛おしく感じる瞬間だ。ようやく作れた小さな火種を大事に大事に育てて焚き火にしていくように、プレイではまず1匹のピクミンを増やすことから始めていく。

 1匹のピクミンでできることは少ないが、3匹、5匹、10匹と増やせば可能性が広がっていく。こまごましたところから始まって、ガシガシと分担作業ができるようになり、最後にはピクミン1匹の何百倍もあるような巨大生物を倒すことにもなる。この「できることがどんどん増えていく」感じがプレイしていて最高に楽しい。さらに効率的にプレイできたと実感が伴えば、達成感はひとしおだ。

そんな小さな体でよくがんばるよあなたたち……

信じられないほどの巨大生物だって倒せてしまう。これがピクミンの力

オリマーが主人公に復帰! たっぷり楽しめる「オリマーの冒険」に注目

 「ピクミン3 デラックス」を遊ぶなら、まずはメインストーリーがおすすめだ。メインストーリーではアルフ、ブリトニー、チャーリーの最大3人の調査員を別個、同時並行的に操作することになる。

 最初は1人の操作から始まって、慣れてきたところで2人、さらに進めば3人と、操作方法を学びながらプレイできる。食料が底をつくプレッシャーもあるが、難易度「ふつう」でもそこまでシビアではないので、肩の力を抜いてじっくり取り組むくらいのスタンスでいいかと思う。序盤は体験版でもプレイできるので、ここで操作を確認しておくのもいいだろう。

 ストーリーモードについては、画面分割の2人協力プレイにも新たに対応している。家族や友人とあれこれ話し合いながら攻略を進めていけるし、2人プレイの方が効率的にことを進められたりするのでおすすめだ。

メインストーリーは3人になってからが本番。操作していない2人は待機となるが、移動先を指定すれば自動で向かってくれるので、この機能をうまく使っていく

 そして、「ピクミン3 デラックス」ならではのなのがサイドストーリー「オリマーの冒険」だ。メインストーリーをある程度進めると登場するもので、端的に言うとメインストーリーでは操作できなかったオリマーとルーイを主人公とした特別コンテンツとなっている。

 設定はうまくメインストーリーに繋がっていて、メインストーリーの前と後でオリマーたちの身に起こった出来事が軸となっている。要は、本編のプロローグとエピローグが遊べるようなイメージ。プレイしてみると、これが予想以上に厚みがあった。

 コンテンツの手応え感としては、気軽に遊べる「ミッション」(後述)とメインストーリーの間くらいだろうか。内容はステージクリア形式で、メインストーリーよりも比較的短い制限時間の中で果実や金塊を集めたり、原生生物を倒すことが目標となる。

メインストーリーでは操作できなかったオリマー

相棒のルーイも操作できる

 達成した度合いに応じて銅、銀、金、プラチナメダルがもらえ、銅メダル以上を獲得すればステージクリア。形式としては「ミッション」に似ているが、同じマップでも「ミッション」とはまったく異なるステージ構成になっていたり、そもそも目的が違ったりする。加えて、オリマーのダンディな低音ボイスがたっぷり楽しめるのもサイドストーリーならでは。「ピクミン3」をやり込んだ人でも新鮮な気持ちでプレイできる内容だろう。

 特にエピローグにあたる「オリマーの冒険 ふたたび」は長さもあり、進めるほどに難易度が上がっていく。「なるほどそういうアレンジで来るか」というものになっているので、ぜひご自身で内容を確かめていただきたい。

内容は「ミッション」と似ているが、目的やレベルデザインがまったく異なる

 ちなみに「ピクミン3 デラックス」では、Joy-Conのスティックやボタンで操作する、Wii U版における「クラシック操作」に近いものが基本の操作方法となっている。Wii U GamePadの画面上をスライド操作することでカーソルを移動できた「タッチペン操作」に比べると直感的なところは薄れるが、その代わりロックオン機能が強化されていて、「あの生物や食料にピクミンを投げたい」といったことはより簡単にできるようになっている。

操作設定は一長一短。決めるのが難しいところだ

 難点としては、狙いとは違うものをロックオンしてしまうときがあったり、移動する生物に対して「移動先を予測してピクミンを投げる」ことができない点だろうか。あえてロックオンしないことでこうした事態にも対応できるのだが、スティック操作だと慣れが必要かなとも思う。

 ちなみに操作方法にはジャイロ操作もある。こちらはタッチペン操作の代替のようになっているのだが、筆者にはやや使いづらかった。操作していると、あってほしいカーソル位置と実際の位置がどんどんズレていくので頻繁にリセットする必要があったほか、そのリセットボタンがピクミン切り替えボタン(R、L)の片方を潰す形になっているので、結果として基本操作の方が筆者にとってはやりやすかった。ここはプレイする人によって意見の分かれるところだと思うので、いろいろ試していただくといいかと思う。

操作設定はプレイ中にいつでも変更できる。スティックとジャイロのハイブリッド設定も可能だ。何がいいかは実際に触れてみるのが一番だろう

7年ぶりでも色あせない「ピクミン」リメイク

 ほかにも、ゲームモードには繰り返し遊べる「ミッション」や2人対戦モードの「ビンゴバトル」がある。どちらも「ピクミン3」にあったモードだが、特に「ミッション」はWii U版での追加DLCステージが有料のものも含めてすべて収録されている。

 「ミッション」はステージごとに目標が設定されていて、サイドストーリーと同じようにメダルの獲得を目指していく。どちらかというとサイドストーリーよりもコンパクトだが、繰り返し遊んでより高みを目指していける。

 また、クリスマスがテーマのステージなど、ストーリーモードとはまったく異なるロケーションが用意されていたりして、そこも見どころだ。ピクミンとの戯れをより極めるなら、何度挑戦しても楽しい「ミッション」モードは何よりおすすめだろう。

ストーリーモードでは登場しないロケーションもあるのが「ミッション」。ギミックにも凝っている

 それにしても本作は時間泥棒的なところがある。調子に乗ってミッションをプレイしていると「あれ、もうこんなに時間が経ってる!」となったことが何度もあった。プレイが始まってピクミンの采配を考え出すと相当集中できるようで、「あれをやって、これをやって、あれをしている間にこっちをどうにかして……」とやっている時間はかなり癒やされる。

 そこまでやってもダンドリ的に物足りない部分がやっぱり出てきたりして、突き詰められるところの多さに本作の奥深さを改めて感じる。ピクミンを極めるのはまだまだ時間がかかりそうだし、7年ぶりにプレイしても面白さはまったく色あせていない。7年ぶりの今だからこそ、手をのばすのに最適な「ピクミン」リメイクではないだろうか。

やりこむほどに上達を感じられるのが「ピクミン」。7年ぶりにどっぷりと浸かっていきたい

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