火曜日, 9月 29, 2020
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世界最後発だからこそ、大阪には唯一無二の統合型リゾートを作るべき | JaIR -日本型IRビジネスレポート-

大阪府・市の特別顧問として大阪の都市再生や観光集客プロジェクトをリードしてきた橋爪紳也氏にインタビュー。後編では橋爪氏に自らも関わる大阪の統合型リゾートプロジェクトについて話を聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー KADOKAWA 玉置泰紀)


大阪府特別顧問/大阪市特別顧問 橋爪紳也氏

 

カジノに対する考え方や規制は国ごとに大きく違う

玉置:橋爪さんと統合型リゾートの関わりについて教えてください。

橋爪:日本では賭博が禁止されており、一方で公営ギャンブルが運営されています。日本独自の法制度です。こうしたなか、グローバルスダンダードに基づいた法制度や概念を考えなければならないと思い、ゲーミングやギャンブリングに関する学術研究団体を立ち上げました。また2008年には、シンガポールの統合型リゾートのあり方を日本に展開するべく、研究会を主宰しました。当時ほとんどの人が知らなかった統合型リゾートという概念を説明し、日本版のIRを考えなければならないと訴えかけました。その成果を大阪府に提案したのが、2009年のことです。

玉置:日本ではカジノや賭博を中心に議論が進んでいるのですが、世界ではどんな感じでしょうか?

橋爪:賭博に関してはは、国や地域で規制がさまざまです。伝統的な倫理観や、生活に根ざす多様な規律を背景に、近代化のなかで各国が制度化をはかってきました。わが国の統合型リゾートを考えるうえでも、各国でどのような賭博に関する考え方があるのか、どのようなビジネスが生まれているのか、私たちは比較して、前提として把握する必要があります。

たとえば、ヨーロッパでは、EU法のレベル、国レベルでそれぞれに賭博に対する考え方や規制があります。ドイツは街のあちこちにスロットマシンがありますが、ポーカーをできる場所は各州に1つくらいしかありません。EU法における判断と、ドイツの法律におけるカジノの考え方の齟齬を巡って訴訟が行われてきた経緯があります。

玉置:先進国ではすでにIRが根付いているみたいな話がありますが、これはどうなんでしょうか?

橋爪:ある程度の規模のカジノはあちこちにありますが、ヨーロッパでは大規模な統合型リゾートはなかなか根付きません。イギリスも、スペインも、IRを導入しようと思って、結局頓挫しています。

米国も州ごとに温度差があります。たとえばハワイ州は、住民投票でカジノの導入を見送ったと聞きました。ラスベガスのような巨大カジノだけではなく、高齢者が少額の賭けをして楽しめるカジノリゾートも各地にあります。ラスベガスやシンガポールを見るだけではなく、世界各国でカジノに対して多様な考え方や制度があることを理解すべきです。

玉置:最近の注目はどうなんでしょうか?

橋爪:注目度が高いのはやはりオンラインカジノですね。ドイツではオンラインカジノは違法ですが、事業者はマルタにあるので取り締まりが難しい。EU法では認可されているので、規制は難しい。

同様のことは米国でも議論されています。昨年、連邦裁判所でスポーツベッティングが認められました。結果、各州が制度化を始めました。国ごとに個別の倫理観があるので、それは重視すべきですが、財は国境を移動する時代になっているので、大きな視点で規制をかけないと取り締まれない時代にもなっています。

またラスベガスではe-SportsやスポーツMICEなどが流行している。近年は、各カジノリゾートが巨大なナイトクラブを開設し、若い世代を中心に毎晩、盛り上がっています。従来の見せるだけのエンタテインメントショーじゃなくて、体験型のライブイベントの方が人気を博しています。とにかく新しいコンテンツがどんどん集積し、滞在型リゾートとして進化しているのです。

脱工業化の中で大阪は国際観光集客都市を目指すべき

玉置:橋爪さんは大阪府や大阪市の特別顧問として、長らく観光施策や都市再生に携わってきました。

橋爪:1990年代から私が提案していたのは、観光集客産業を基幹産業化するということです。私は大阪府、大阪市の特別顧問として、「都市魅力向上」を大きな考え方とするべく提案、大阪城や天王寺公園へのパークマネジメント導入、水と光のまちづくりなど、多くの案件を立ち上げてきました。大阪の都心を魅力的にすることで、世界の人がその場所にあこがれをもって集まり、新しい知的産業やベンチャーが生まれ、成功した人が大阪を拠点に世界に出て行くという流れを考えています。

私は90年代に「国際集客都市」という概念を提唱しました。中核にあるのは、「来街者(ビジター)」が都市を使いこなすということ。市民がいるから都市なのではなく、多くの人たちが出入りするから都市なんです。ニューヨークやパリ、ロンドンは工場が多数、集積しているから魅力的であるのではない。文化や金融の中心であり、多くの人が世界中から集まるから、世界都市になり得たんです。シンガポールが目指したのはまさにそこでしょう。貿易の拠点であり、工業生産も盛んな大都市ではあるが、さらに投資を呼び込み、本社機能が世界中から集まる場所とするために、都市魅力向上、ひいては観光集客に注力することにしたんです。都市が世界の中で存在感を示すのはまさにそういうことでしょう。

玉置:大阪という都市のポテンシャルについてお考えを教えてください。

橋爪:大阪は商都からスタートし、20世紀以降は工業化を進め、商工業の都市として経済発展を遂げてきました。江戸時代に農業生産を上げるために埋め立てたベイエリアの土地を、近代化のなかで工業地帯として整備してきました。とにかく工場を誘致して、都市を繁栄させてきました。

しかし、脱工業化の流れで都市の役割の転換がはかられる中、大阪は工業を軸とした産業都市から脱皮できず、新しい機能を持ち得ませんでした。大阪が目指すビジョンの中に、次世代の基幹産業のイメージや都市としての魅力向上策が希薄だったように思います。だから、工場はアジアに出て行き、本社機能は東京に移ってしまいました。

玉置:おっしゃるとおりです。東京オリンピックでこの流れは加速するのではないかと危惧しています。

橋爪:大阪は昭和の初めに観光都市としても発展をみます。歴史博物館である大阪城を作り、水辺に観光船を運行させました。戦後も、大阪万博に応じて、国際観光に注力を注ぎました。1990年代には、ベイエリア 開発が進みます。海遊館という巨大水族館を造り、工場地帯の跡地にユニバーサルスタジオジャパンを誘致、アメリカのウォーターフロント計画を参考にしながら、工業地域を集客できる場所に造りかえました。計画自体は先進的だったのですが、いかんせんバブルがはじけていくつかは負の遺産になってしまいました。でも、当時のコンセプトは間違ってはいなかったと思います。

われわれはもう一度、世界都市としての大阪の存在感を示すために、国際観光集客都市の旗を掲げなければなりません。そのための一施設が統合型リゾートであり、きっかけが2025年大阪・関西万博になると確信しています。

IRという言葉すら凌駕した次世代モデルを作るべき

玉置:日本型IRの姿についてどうお考えになりますか?

橋爪:世界はグローバル化がいっそう進展します。だからこそ地域固有の文化に由来するユニークネスはつねに考えなければならないと思います。もっとも、すべての伝統は、ある時期にクリエイトしたものという発想が重要です。奈良や京都の文化遺産、たとえば大仏殿や金閣、清水寺本堂ができた際には、人々は驚いたでしょう。外来文化である仏教をもとに、日本的に解釈した斬新なものです。それが時間を経て、日本の伝統となる。南蛮文化を咀嚼した安土城に由来する各地の天守閣などもそうですよね。

祇園祭などの祭礼や年中行事も同様です。阿波踊りだって、昭和の初めに阿波に固有の盆踊りを観光芸能化して、日本全国に知れ渡るユニークなダンスとして知られるようになりました。当時、各地の博覧会やイベントにチームを派遣して、徳島の観光コンテンツとして宣伝したそうです。面白いのが、徳島の洗礼を各地が模倣したこと。戦後、高知でよさこい鳴子踊りが誕生、さらに札幌で、よさこいソーランが誕生します。その後、日本各地に広がります。たかだか80年足らずのうちの出来事です。もともとのコンテンツがユニークなほど、影響力を持って伝播していくんです。

今日の伝統もすべてが、誕生した際には、先例のない大胆な創造であったことはあきらかです。ただいかなる大胆な創造も、持続して評価されれば、50年、100年経つと我が国のよき伝統になるんです。

玉置:こうして橋爪さんの取り組みを見ていると、つねに次の時代を見据えてきたような気がします。

橋爪:次世代の都市、近未来の都市を想像し、創造することが、私の基本的な関心です。2025年大阪・関西万博では、2030年代の未来社会のモデルを世界に示さなければいけません。絶えず、「ネクスト」を考えないといけません。

IRも、いまは近未来の施設ということですが、開業して5年もしたら、そこにあるのが当たり前と誰もが思う、日常的な観光施設になります。東京ディズニーランドはもはやあるのが日常で、開業前のことなど、若い世代には想像もできないですよね。「IRができたら」なんて考えている今日の状況は、すぐさま振り返るべき、過去になるのですね。IRがそこにあることを前提に、次世代の観光集客都市の議論を展開するべきです。

玉置:確かにIRができることを前提に議論を進めるべきですよね。

橋爪:日本のIRについて、私は常に「われわれは世界最後発である」と言っています。2020年代後半に開業というこだと、シンガポールの15年遅れで具体化します。だからこそ、最後発だからこそ最高によいもの、唯一無二のものを創造するべきだというのが私の主張です。

私は今まで見たことないものを見たいんですよ。世界のどこにもない、まったく新しい統合型リゾートが大阪にできるということであればワクワクします。シンガポールやラスベガスの劣化版では意味がありません。事業者には、シンガポールモデルのIRを凌駕する次世代モデルの提案を期待したいですね。

 

著者: ” — jair.report

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